スギ花粉舌下免疫療法

花粉によるアレルギー症状は、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、下痢や頭痛など様々で
私たちのQOL(生活の質)を低下させる大きな要因となっています。
毎年スギ花粉が飛散する春先に以上のような症状でお悩みの方にはスギ花粉舌下免疫療法がおすすめです。

スギ花粉舌下免疫療法とは花粉症の根治を目指す新薬として開発された厚生労働省の承認を受けた薬剤を使った治療法です。国内では、2014年10月に保険適用となり、比較的新しい治療法といえます。国民の25%以上がスギ花粉症といわれています。
当院では皮下注射による免疫療法を実施してまいりましたが、より治療が継続しやすい、スギ花粉舌下免疫療法も2017年10月から開始しております。


スギ舌下免疫療法(シダトレン)治療のながれ

スギ花粉舌下免疫療法とは

1. アレルゲン免疫療法とは

減感作療法ともよばれ、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、からだをアレルゲンに慣らし、アレルギーを和らげる治療法です。アレルギー症状のある患者のうち、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などに対してこの治療法が行われています。
この治療法は、100年以上も前から行われている治療法です。アレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が行われていますが、近年では舌下に投与する「舌下免疫療法」も行われています。

2. 皮下免疫療法と舌下免疫療法の違い

皮下免疫療法は、医療機関での投与が必要です。注射の痛みがあり、治療開始初期は頻回に通院が必要となります。
舌下免疫療法は、舌下への治療薬の投与のため注射の痛みがなく、自宅での服用が可能です。しかし、皮下注射と比べて、治療に対してのより深い患者さんの理解が必要になります。

3. どのくらいの効果がある

現在、花粉症を治すことができる唯一の治療法が免疫療法とされています。ただし、全ての患者さんに効果があるわけではなく、治療をした患者さんの約2割が花粉症の治癒、約3割が大きく改善され花粉症薬の薬が激減した、約3割で症状はあるが改善された、約1~2割で治療効果がないというデータがあります(約8割の方に効果がある)。

4. どのように治療する

スギ花粉を抽出した薬剤(液体)を下の裏に滴下します。2分間そのまま保持してから飲み込みます。初回から2週間は1日一回滴下する量を少しずつ増やし、3週目以降は同量を毎日舌下投与します。初回の舌下投与のみ医療機関で行い異変がないか確認します。その後は、毎日ご自身での服用となります。薬剤は甘酸っぱい味です。

5. 治療開始時期について

スギ花粉の飛散する前後には、安全のため、治療を開始できません。治療の開始が可能なのは、6~12月治療開始とされています。
スギ花粉の飛散が始まる3ヶ月以上前からの治療が効果的といわれています。

6. 副作用について

薬剤は、スギ花粉から成分抽出されているため薬害はないと考えられています。服用直後に強いアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こす可能性がありますが、これまでの国内外での実績からきわめて稀であり、一般的に服用される薬剤と同程度の安全性とも言われています。
軽い副作用(副反応とよびます)はあるため、治療については、ご自身にもよく理解していただく必要がありますが、医師の指示に沿って服用いただければ、安全な治療と言えます。

7. 治療の流れは

基本的な流れで行う場合、初回の診察~血液検査を行います。1~2週間後に2回目の診察を行い、検査結果などに基づき医師が治療可能と判断した場合、初回の滴下を行います。滴下後30分以上は、院内待合室で安静にしていただきバイタル等のチェックを行います。特に問題が無ければ、そこで14日目までの処方を行います。2週間後に再度受診いただき、治療継続可能と医師が判断した場合、その後は1ヶ月に一度の診察となります。

8. だれでも治療できるの

スギ花粉症であることが大前提です。当院では、採血検査で診断を行います。スギ花粉症の確定診断があっても以下の場合などは、治療できません。
妊娠されている、近いうちに妊娠希望の場合、重症喘息の場合、癌の治療をしている場合、重篤な心臓の病気がある場合、免疫不全/免疫抑制剤を服用されている場合、12歳未満の場合、その他医師が治療継困難と判断した場合。
 (高齢者の方も治療可能ですが、治療の効果がやや低いと言われています。)

9. 治療薬はどこでも処方してくれるか

処方する医師はあらかじめ講習を受けた医師のみとなります。当院では、高鳥医師・木村医師・山口医師・小林医師・河辺医師が担当致します。
講習を受けた医師がいる他の医療機関でも処方は可能ですが、治療の経過をみていく必要があるので、継続的に同じ医療機関にかかることをおすすめします。

10. 他の治療とどう違うか

舌下免疫療法の大きな違いは、事前に治療を開始してスギ花粉症の症状が出ないように予防するという点です。よく使われる飲み薬は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの症状を改善させるもので、スギ花粉の飛散する時期に使われます。

11. 事前に効果があるか分かるの

残念ながら、今のところ事前に舌下免疫療法の効果があるかないかの判断はできません。約8割の方に効果がある反面、2割の方には効果が少ない、効果が出ないというデータがあります。

12. 他の花粉症の薬との併用はできるか

免疫舌下療法の治療をしていても、他の花粉症のお薬は使用可能です。他のお薬の量を少なくする事は一つの目的でもあります。花粉症の症状に応じて
我慢せずに担当医師に相談して下さい。症状にあわせてお薬を併用するのが一般的です。当院では、花粉症に良く効く漢方薬の治療もおこなっております。

13. 治療期間は

長期間の継続治療が必要となります。まず、約2年ほど治療を継続して効果を確認する必要があります。その間で効果が出た患者さんには、計4~5年の治療が勧められています。

14. 効果がでるまでどのくらいかかる

免疫を変え体質を改善する治療のため、治療開始からすぐ効果を確認出来る治療ではありません。初回服用から数ヶ月後のスギ花粉飛散期に大きな改善がみられる場合や2~3年後に改善がみられる場合など、効果が出るまでの期間は様々です。1年目より2年目、2年目より3年目の効果が大きいというデータがありますので、焦らず治療していく事が必要です。

15. 舌下免疫療法はずっと続けなければならないの

3~5年治療を行えば、治療を中断しても効果が持続すると考えられています。治療をやめて、1~2年後に症状が出てきた場合は、あらためて舌下免疫療法を行うと、効果が元に戻るといわれています。

16. スギ花粉以外の花粉症では治療できないの

海外では、他の雑草の花粉症などの治療薬もありますが、今のところ日本で治療出来るのは、スギ花粉のみです。

17. 他のアレルギー性鼻炎の治療は

ダニの舌下免疫療法は2015年に保険適応となりました。当院ではダニの舌下免疫療法もおこなっております。詳しくは、ダニ(ハウスダスト)舌下免疫療法をご覧ください。
尚、スギとダニ舌下免疫療法の治療は同時には開始できません。同時に治療を行う場合は、少なくとも治療開始日を1カ月間以上おいて治療を行います。

18. どのような患者さんにお勧め

花粉症の症状改善のため、内服薬や点鼻薬を多く使用しているので薬を減らしたい。
花粉症の症状や内服薬を服用後の眠気などで仕事や家事、勉強などに支障をきたしている。
花粉の飛散時期のつらい症状と長く付き合っていくことを心配している。
先の受験がスギ花粉飛散期なので、今のうちに改善しておきたい。
数年での妊娠は考えていないが、将来妊娠した際に服用している薬が飲めなくなった場合に不安。

19. 治療にかかる費用について

初回の診察・検査等で5,000円程度(3割負担)の窓口負担となります。免疫舌下療法のみでの治療の場合、クリニックと薬局を合わせ約1,800円(3割負担)/月の
窓口負担となります。また、1年程度に1回の検査が必要となります。