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関節リウマチ専門外来

1. 関節リウマチとは

免疫の異常によって起こる自己免疫疾患(膠原病)のひとつです。本来、細菌などから体を守るためはたらく免疫システムに異常をきたし、自らの手足や体(特に関節)を攻撃します。
現在日本には、70~100万人以上の関節リウマチの患者さんがいるといわれています。かつてのリウマチ治療は痛みをコントロールすることが中心で関節破壊の進行とともに半数の方が寝たきりになってしまうような病気でした。しかしながら、昨今の治療の進歩により、早期に発見し、早期から適切な治療を行うことで、関節破壊の進行を防ぐことができるようになってきました。関節破壊は発症2年以内に急速に進行することがわかってきており、早期診断早期の専門治療によって速やかに寛解へ導くことが重要と考えられています。また、全身症状、肺病変や眼症状、皮膚症状など関節以外も冒されるため全身管理が必要とされる病気であり、リウマチの専門的かつ総合的な内科治療を行う必要があります。
「朝起きて、手足がこわばる」「パジャマのボタンが外しにくい」「歯ブラシが持ちにくい」「靴ひもが結びにくい」といった症状が続いている場合、リウマチを専門的に治療できる医療機関への早期の受診をおすすめします。

2. 関節リウマチの診断

2010年に診断の基準が改訂されました。以前の基準が早期診断に向かないという理由から欧米を中心として関節炎の数と期間、炎症反応・リウマチ因子の有無によりスコアを合計して診断するという基準に変わりました。しかしながら、関節リウマチでも基準を満たさないことがあり(約1~2割)、医師の所見、血液検査、レントゲン検査や超音波エコー、MRIなどの検査を組み合わせて判断されます。
血液検査では、炎症反応(CRP・血沈)、リウマチ因子・抗CCP抗体・MMP-3などを重点的に確認します。レントゲンでは、関節周囲の骨粗鬆や関節の隙間の狭小化、骨びらん(骨の一部欠損)や強直(骨同士の融合)などを確認します。X線写真は、初期には変化がほとんどみられず、異常所見がみられないため超音波検査やMRIなどで滑膜炎や,骨びらんを確認します。

3. 関節リウマチの治療

かつての関節リウマチの治療は、病気の進行を止めることが出来ないと考えられていました。整形外科で診られることが多く、鎮痛剤で痛みをとりながら、病状が進行し関節の症状が悪くなると手術をするといった対応をとるのが主流でした。しかしながら、メトトレキサート(商品名:リウマトレックス)の保険適用(1999年)を機にその治療は飛躍的な進歩を遂げ、内科的治療の重要性が増しました。2003年には生物学的製剤が国内で使用できるようになり、続いて分子標的治療薬としてJAK阻害剤のトファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ)が2013年に国内承認されました。 現在、主な抗リウマチ薬は以下のようなものがあります。
メトトレキサート(MTX)、ブシラミン(リマチル)、サラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN)、ミゾリピン(ブレディニン)、タクロリムス(プログラフ)
生物学的製剤:アダリマブ(ヒュミラ)、インフリキシマブ(レミケード)、エタネルセプト(エンブレル)、ゴリムバム(シンポニー)、セルトリズマブペゴル(シムジア)、トシリズマブ(アクテムラ)、アバタセプト(オレンシア)
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤:トファシチニブ(ゼルヤンツ)パリシチニブ(オルミエント)

以前は『痛みを抑える』というのが治療目標でしたが、現在は進行を抑制して、『寛解(病状がおさまっておだやかなこと)導入』が目標となっています。関節に腫れや痛み炎症がなく、破壊の進行がほとんど止まっていて身体機能の維持ができている状態に持っていくことが、現在目指すべきものになっています。
当院では、リウマチを専門的に内科治療できる医師5名が関節リウマチの患者さんのサポートをさせていただきます。

関節リウマチQ&A

Q関節リウマチはどのような症状があらわれますか?
A 主な症状としては朝の手足のこわばりや関節の腫れ・痛みがあげられます。手足の指など比較的小さい関節から症状が出ることが多いですが、ひざや肩などの大きい関節の痛みや足の裏の違和感を訴える方もいらっしゃいます。
次第に関節の炎症が続き身体のいたるところに症状が現れ、進行してくると骨が破壊されて関節の変形や著しい機能障害が起こることがあります。骨や関節以外の症状では、微熱、貧血や倦怠感、肺炎などがあげられます。
Qまったく症状はないのですが、血液検査でリウマチ反応が陽性になりました。関節リウマチなのでしょうか?
A リウマトイド因子は、他の膠原病や感染症、異常のない方などでも陽性になることがあります。また、関節リウマチでもリウマトイド因子が陰性となる患者さんもおられます。関節リウマチの診断は、診察や血液検査、エコー検査、レントゲンやMRI検査などを用いて、総合的に判断する必要があるため、リウマチを専門的に治療できる医師のいる医療機関に受診することが重要です。
Q具体的な関節リウマチのサインを教えてください。?
A以下の症状が気にかかる場合は受診をお勧めいたします。
  • 起床時、手足の関節のこわばりが1時間以上続く ・腫れた部位に痛みがある
  • 歯ブラシが持ちにくい
  • 服のボタンのかけはずしがうまくいかない
  • 鍵を回しにくい
  • ハサミが使いずらい
  • 箸が使いづらい
  • リモコンの操作がしにくい
  • ドアノブが回しにくい
Qどこで治療をすれば良いのですか?
A 以前は、整形外科で痛みをとる治療することが多数でした。しかし、メトトレキサートを皮切りに関節リウマチの治療薬が次々と開発され内服薬や注射薬での治療が進歩し、内科的治療が中心となったため、リウマチ内科での治療が増えています。また、整形外科でも内科的治療を学ぶ医療機関が増えてきたため、リウマチ内科・整形外科どちらがというわけではなく、リウマチ専門医が治療する医療機関を受診することをお勧めします。
Q関節リウマチの治療はいつごろからはじめれば良いのでしょうか?
A 早期の治療が重要だと言われています。気になる症状や、血液検査などで異常値が認められた場合は早期に受診することが重要です。早期の診断、早期の治療が予後に大きく影響を与えます。以前は、症状が時間をかけ進行し関節破壊についても10年以上かけて進行していくと考えられていました。しかしながら関節の腫脹や疼痛がなくても、内部では関節破壊が進行することが分かってきました。発症から1年以内に急速に関節破壊が起こることが多く、診断にも専門的な知見が必要なため、早期にリウマチ専門医へ相談することが望ましいと言えます。
Qどのような方に発症することが多いですか?
A 男性よりも女性の方が罹患率は約4倍高いです。発症年齢は、30~50歳代が多数ですが、最近では、60歳以降のご高齢の方の発症も少なるありません。
Q関節リウマチの治療はいつまで続くのでしょうか?
A 関節リウマチの病状が良くなったからと言って、完治という言葉を使われません。現在の治療目標はうまく病気をコントロールすることにより『寛解』とういう状態にもっていくことです。『寛解』とは、病勢がとまり、症状がなくなり、進行も止まっている状態をいいます。ただし、『寛解』を得た場合も治療や病状を定期的に確認していく必要があります。ステロイドや非ステロイドなどの抗炎症薬、リウマトレックスなどの抗リウマチ、生物学的製剤やJAK阻害薬などの休薬などはご自身で判断するのではなく、リウマチ担当医の判断をしっかりと守ることが重要です。

大野 修嗣

大野クリニック院長

  • 医学博士
  • 国際東洋医学会 理事
  • 埼玉医科大学第2内科非常勤講師
  • 日本東洋医学会 副会長
担当 内科・リウマチ科・アレルギー科・胃腸科
コメント リウマチ、膠原病、アレルギー疾患を専門的に治療しています。
著書 漢方学舎白熱教室入門編・漢方学舎実践編
診療日 月・火(午前)・水(午前)・金・土

※4月より、毎週土曜日(午後)大野院長診察のみ予約診療となります。詳細はこちらをご確認ください。

 

松田 真弓(まつだ まゆみ)

埼玉医科大学病院 リウマチ膠原病科 助教

  • 日本内科学会認定医
担当 リウマチ・膠原病科・内科・漢方
診療日 月・火(午前)・水(午前)・土
コメント 内科・リウマチ膠原病科外来を担当しています。
大野院長の長女

 

舟久保 ゆう

埼玉医科大学病院 リウマチ膠原病科 診療副部長・外来医長・教授

  • 日本内科学会 認定医、専門医、指導医
  • 総合内科専門医・指導医
  • 日本リウマチ学会 専門医、指導医、評議員
担当 内科・リウマチ膠原病科外来を担当しています
診療日 木曜午前

 

秋山 雄次(あきやま ゆうじ)

小川赤十字病院 副院長兼リウマチ科部長
埼玉医科大学病院 客員教授

  • 日本内科学会認定医・指導医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本リウマチ学会専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会専門医・指導医
  • 日本東洋医学会認定漢方専門医
  • 臨床研修指導医
担当 リウマチ・膠原病科・内科
診療日 水曜午後
 
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